「あ〜 もうやだっ!!」

「あっ! 何やってるんだ!!」

目の前には電源が切れて真っ黒い画面のパソコン。

「だって・・・疲れたんだもん。」

「だからってそのまま切るなよ。いつも言ってるだろ?」

「あ〜ハイハイ。ごめんなさぁい。」





  complex




成績優秀で常にトップのアスラン・ザラ。

カッコイイし、スポーツだって出来るから女の子にモテる。

そんなアスランと付き合ってるあたし。

これがまた、とんでもない劣等生なのです。

勉強なんて大ッ嫌い!!

授業中は居眠りもしょっちゅうで、いつも教授に怒られてる。

全く正反対のあたしとアスラン。

だから、周りの人達も疑問の目で見てる。

どうしてあんな子とアスランが・・・って。




週末になると与えられた課題が山のようにたくさん・・・。

もううんざりだ。

案の定、一人だと怠けるあたし。

だからアスランは監視も兼ねて手伝いに来てくれる。

もちろん、自分の課題は全部終わらせて・・・。

「課題さえ無かったらデートできるのになぁ・・・。
 見てよ。この晴れた空。
 絶好のデート日和じゃないの・・・。」


机に伏せて黄色いハロを指でつつく・・・。

アスランが誕生日に作ってくれた、私の髪と同じ色のハロ・・・。

「さっさと終わらせたらドライブでも何でも出来るんだけど?」

その声に私はガバッと起き上がる。

「本当!?約束ねっ!!」





カタカタカタ・・・

静かな部屋にキーボード音だけが響く。

アスランはあたしのベッドに腰掛けて手に持った本に目を伏せる。

「終わったぁ〜〜〜!!」

手早くデータをディスクに移して電源を落とす。

「え・・・もう?」

驚いた表情で顔を上げたアスラン。

「さ、アスラン!!出掛けるよ!!」

コートを取ってアスランの腕を引っ張る。

「・・・やれば出来るんじゃないか・・・」




「う〜ん♪気持ちいいっ!!」

約束通り、アスランの運転でドライブデート。

肌に当たる風がとっても心地いいオープンカー。

「・・・で?どちらへ行かれますか?姫。」

「海が見えて人の少ない所!!
 2人っきりでのんびりしたい!!」

「・・・了解。」

思い切りアクセルを踏み込むアスラン。

車は一気に加速して、海の方角へと走り出した。





「・・・アスラン??」

海を臨む小高い丘。

アスランの一押しスポットだ・・・って連れて来てくれて・・・

芝生に座ってしばらく話してたんだけど・・・

急に黙り込んじゃったと思ったら、いつの間にか横になって寝息を立ててる・・・。

「つまんないの・・・。」

眠るアスランの横顔・・・。

その濃紺の髪にそっと触れてみる。

整った顔立ち・・・

イイ男だなぁ・・・

劣等生のあたしには勿体無いくらいのイイ男。

「ねぇ・・・アスラン。あたしのどこが・・・スキ?」

いつから好き?

どれくらい好き?





「全部好きだよ。」

独り言のつもりで放った言葉に返事が返って来たからビックリした。

「ア・・アア・・アスラン!?起きてたの!?」

・・・騙されたっ!!

アスランは真っ赤になるあたしの顔を見て嬉しそうに笑う。

ずるい・・・寝たフリしてたなんて・・・



「・・・全部って・・・何か嫌だなぁ・・・」

「そうか?」

「じゃぁ・・・どこが一番好き?」

「う〜ん・・・。 素直な所・・・かな?」

「素直・・・? どこが??」




「好き嫌いがハッキリしてるだろ?」

「・・・それって素直?」

何か違う気がするんだけど・・・

「素直さ。」

「ぅわっ!!」

いつの間にかアスランの手があたしの腰に回されてて・・・

アスランの腕の中に抱き寄せられた。

「あ・・・あたしは・・・自分が嫌い。」

「・・・何で?」





アスラン・・・

あなたが光なら、あたしは影。

だからあたしはあなたに惹かれたのかもしれないね・・・

「皆言ってる・・・。
 どうしてあんな子がアスラン・ザラの恋人なんだ?・・・って。」

アスランの顔が曇ったのが分かった。

「だから嫌なの。分からないの・・・。
 あたしなんかと付き合ったって・・・損するだけなのに・・・。」

「本当に・・・そう思ってる?」

アスランの右手があたしの頬に触れる。

更に自由を奪われたあたし。

自然とアスランの顔があたしの目に入る。

その顔は怒っている様で・・・

困っている様で・・・

淋しそうな顔・・・。





「・・・ごめん。」

あたしが目を伏せてそう言ったら、

アスランはあたしの体を更に抱き寄せて、

そっと唇を重ねた。

「・・・アス・・・ラン?」

「俺はと付き合えて幸せだぞ?
 こんなに可愛いを独り占め出来て・・・。」

アスランが耳元で囁く。

あたしの顔・・・きっと真っ赤。

「か・・・可愛いなんて言わないで。 恥ずかしい・・・。」

もう、アスランの顔さえまともに見れない・・・





「俺は、の一生懸命な所が好き。」

「・・・うん。」

「気の強い所も好きだ。」

「・・・うん。」

「でも・・・」

「でも・・・?」

その後の言葉を言ってくれないから、

あたしはアスランの胸に埋めていた顔を上げた。

・・・視線がぶつかる・・・。

「もっと甘えてくれたら、もっと好きになれる・・・かな?」

「・・・そんな言い方・・・ずるい。」

あたしがちょっと膨れてそう言ったら、

アスランは嬉しそうに微笑んだ。





は?」

「・・・え?」

「俺のどこが好きなんだ?」

「ど・・・どこって・・・」

アスランがもっと力を込めて抱き締める。

その力は強くて、どう頑張っても抜け出せない。

「俺は言ったんだから、次はの番。」

その笑顔・・・反則だ・・・。





「えっとね・・・優しい所が・・・好き。」

「うん。」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・それだけ・・・。」

「・・・それだけ!?」

「だって・・・他に思いつかないんだもん・・・
 ・・・って言うか、あり過ぎて一言にまとめてみたんだけど・・・。」

「一言で言うと『優しい』?」

「・・・そう。」




だって・・・

他に言葉が浮かばない・・・。

アスランはあたしを優しく包んでくれて・・・

優しく守ってくれて・・・

誰よりも優しく触れてくれる・・・

アスランの行動、仕草・・・

全てが『優しい』に繋がってるの・・・。




「何か物足りないな・・・。」

「・・・そう?」

ちょっと不満げなアスランはあたしの額にキスを落とす。

瞼に・・・

頬に・・・

そして唇に・・・

触れるだけの甘い甘いキスに溶けてしまいそう・・・。

あたし・・・愛されてるんだな・・・

それが嬉しくて・・・くすぐったくて、目頭が熱くなった。





「ねぇ、アスラン。」

「・・・ん?」

あたしがアスランの名を耳元で囁いたら、

アスランはあたしの髪を撫でる手を止めてあたしを見た。


「だいすき・・・。」

「うん。俺も。」

「あたし、頑張るから・・・勉強キライだけど・・・。」

「うん。」

「だから・・・ずっと一緒に居てね?」

「・・・もちろん。」








【あとがき】

初のリク夢を書かせて頂きました。
アスランの激甘・・・という事で、私なりに書かせていただきましたが、
果たして甘いのでしょうか・・・?う〜ん・・・微妙。
アスラン夢を書くと、どうしてもシリアスに走りそうになってしまいます。
・・・と言うか、基本的に甘いのが書けないのか?
甘い・・・の基準も人それぞれですしねぇ・・・。

リクエストして下さった遥里様、梨惟菜がとっても尊敬している方です。
いつも作品を読ませていただいてるんですが、とっても素晴らしいです。
こんな私の為にリクエストして下さって本当にありがとうございましたぁ♪
感想なんか頂けると幸いです♪

ではでは。

2004.12.21 梨惟菜



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