「ん…」









目を覚ますと、目の前にはぐっすりと眠る君の姿…。








手を伸ばすと柔らかい髪はサラッと指に絡まる。









こんな幸せな朝を迎えるのは生まれて初めてだ。



















「ん…?」







ふわり…と瞼が持ち上がる。








「おはよ…。」







そう告げると彼女は自分の状況を把握したらしく、頬をほんのり赤く染めた。














「…お誕生日おめでとう、ムウ。」































世界の中心は…



























「大丈夫か?」







「…ん…」







体を気遣ってやるとまだ頬の赤い彼女は小さく頷く。







左腕を伸ばし、腰へと回すと驚いた様に顔を上げた。







右腕はの首の下にある。









何時間もこの状態だったのに、自然と苦にはならない。







むしろ、もっとこのままで居たいくらいだった。








でも流石に11月末の朝だ。





このままで居たら彼女の体が冷えてしまうだろう。











、シャワー浴びようか。」







「へ?」







「このままだと冷えるだろ?」









「そう…だけど…」







どうやら最初の言葉の意味が気に掛かっているらしく、は戸惑いの表情を見せた。












「一緒に…って意味だけど?」








「…っ…絶対に嫌っ!!」







言葉を付け足すと更に真っ赤になって胸を押された。







「冗談だよ。ま、本気にしてくれても良かったんだけどな…。」







一緒に包まっていたシーツをの身体に巻いてやり、そっと抱き上げた。








「わ…っ!」







の服はランドリーの中で回転中。






洗面所にを下ろし、バスローブを手渡した。









「服、まだ洗濯中だからとりあえず出たらコレを着て来いよ。」







「…ん…」




























「誕生日…か…」













バスルームから聞こえる水音が心地よく耳に響く。







満たされた気持ちで迎えた誕生日の朝…。







他には何も要らないとさえ思ってしまう…幸福な気持ちで一杯だった。




































「ね…プレゼント、何がいい?」









「プレゼントって…昨夜貰っただろ?

 の初め…」






言い切る前に顔面にタオルを投げ付けられた。






は真っ赤な顔で口をパクパクとさせている。






そんな姿もまた可愛い。














「…じゃなくって! ちゃんと形に残る物、プレゼントしたいのっ!!」






俺としては昨夜のだけで十分なんだけどな…。






そう口に出したらまた怒りかねないから止めておく。







どうも何か『物』を贈らなければ彼女の気は済まないようだ。










「じゃあ…食事が済んだら買い物に行くか。」







「うん!」


































「う〜ん…。」






ショップに入っては首を傾げ、何となく納得が行かない様子で店を後にする。







俺としては何でも良いんだ。





が選んでくれる事に意味があるんだから。








悩んでる姿がまた可愛いしな。







完全に溺愛しちまってるみたいだ。







何処へ移動するにも必ず俺の隣に来てギュッと手を握る。






並んで歩くのが好きだ。







大柄な俺とは対照的で小柄な







年齢の割には幼い顔立ち…。







放っておいたらすぐにナンパされるし…目が離せない。






時々保護者の気分になる。







でも実は芯はしっかりとしていて…絶対に流されない。







俺にはすぐに流されるけどな…。





















「ムウって何着ても似合うよねぇ…。」







「そうか?」







「スーツ着たらホストみたい。」







「それ、褒め言葉か?」






「それくらいカッコいいって事よ。」









まるで着せ替え人形のように色んな服を着せられ…





でも納得が行かないらしくてまた店を出た。




















、別に焦って決めなくてもいいんだけど…」








「でも…誕生日は今日だし…」







「物事にはタイミングってもんがあるしな。

 もしかしたら別の日にが気に入るものが店にあるかもしれないだろ?」








「…う〜ん。確かにそうかも…。」








「だから、無理に今日決めなくていいからさ、今日は普通にデートとして楽しもう、な?」








「うん、そうする。」








納得したは微笑んで…絡めていた指先を腕へと絡め直した。










「ムウ」






「ん?」







「大好きだよ。」







「あぁ、俺もだ。」



























「結局決まらなかったなぁ…。」







部屋に戻って、はちょっと不満そうにソファに腰を下ろした。







「まぁ、形に残る物なら貰ったけどな…。」







「へ…?」







まったく心当たりの無いは首を傾げた。








「コレ。」






パカッと携帯を開くとそこにはの寝顔。









「なっ…!!」










この無邪気な寝顔がなかなか…








「い…いつの間にっ!!」







「そりゃ、寝てる時に決まってるだろ?」







「今すぐ消してっ!!」







消去しようと伸ばした腕を捕らえ、膝に乗せた。










「大丈夫だって。誰にも見せずに隠しておくからさ。」







っつーか…見せれないだろ…こんな無防備な姿。










納得の行かない様子で拗ねるにそっと口付けた。



















「絶対にプレゼント…用意するからね…。」








「はいはい。」










本当はプレゼントなんてどうでもいいんだ。






さえ居ればそれでいい。






と2人で過ごした誕生日が何よりのプレゼント。








だって、俺の世界の中心はなんだからな。
































【あとがき】

バ…バカップルだ…

時間ギリギリ、苦し紛れのハピバ夢です。

しかもタイトルが相当パクリでは…orz

ムウさん、お誕生日おめでとうございます!

30代の男…いいですねぇ…

私の実年齢からすればとても理想的な年齢です♪

お付き合いするなら年下の可愛い子もいいなぁって思うんですが、

何だかんだで最終的には年上の男性が好きなんだと思います。

そんな事はどうでもいい…

とにかく、今年も無事(ギリギリ)お祝い出来てひと安心です。





2006.11.29 梨惟菜










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