「おはよう、。」





今日も相変わらず、爽やかな笑顔が私に向けられる。




そうすると、決まって聞こえて来る声がもう一つ…。








〜!!」







はぁ…






何故か分からないけれど…溜息が自然と漏れた。






確認しなくても、その声は間違いなく自分の弟のもので…





私が彼に声を掛けられると、レーダーの様に反応して飛び込んで来る。







これがこのミネルバの主力パイロットだなんて…到底思えないのは私だけ…?





















 ブラザー





















「だから!何であなたはいつもに付き纏うんですかっ!!」





「シンこそ、何度言ったら分かってくれるんだ?俺はが…」




「だ〜!言うなっ!聞きたくないっ!!」






「じゃあそんな質問するなよ…」









気が付けば毎朝繰り返される会話。




ミネルバの朝の名物と化しているのに、本人達は至って真面目だから困るのは私。













フェイスのエリート、アスラン・ザラ隊長に惚れられ…



ミネルバのエースパイロットの弟、シン・アスカに監視される日常…。









一番困ってるのは私以外の何者でもないのですよ…本当に。





















「ホント…見事に毎日同じ会話の繰り返しよね〜。アレ、漫才?」





「…だったら笑い事で済むんだけどね…残念ながら二人とも本気だから…。」









食堂を抜け出したはルナマリアとラウンジに逃げ込む。







初めてザラ隊長から告白を受けたのは1週間前。




それはもう…本当に突然の告白で…。




その前から、彼は何かと私に声を掛けてくれていたけれど…




彼はパイロットで、私はただのオペレーター。





だから、いつも生意気言って迷惑を掛ける弟の所為で嫌がらせを受けているんだと思ってた。





実際、私自身も隊長に申し訳ないと思ってたし…。







だから余計に驚いて…





だって、急に『好きなんだ』って言われたら普通は驚くでしょう!?




新手の嫌がらせかと思ったくらいだし…。






でも、頬に落とされたキス…



腰を抱き寄せられ…そのまま優しく部屋まで連れてってくれたり…






これが嫌がらせだったら…本当に性格の悪い人…よね?





でも、彼はそんな事するタイプの人間では無いし…。






じゃあやっぱり…本気で私の事を…?



















「プッ…」





急に隣からルナマリアが吹き出す声…





「な…何!?」




、今ザラ隊長の事考えてたでしょう?」




「えっ!?」




声に出してた…つもりは無い…。




「ホント、顔に出るんだから…。今の百面相、凄く面白かったわよ?」





「う…っ///」





いつもこうだ…。



気を付けてはいるんだけど、私の感情はどうやら顔にすぐ出るらしく…



付き合いの長いルナマリアやメイリンにはすぐに見抜かれてしまうらしい…。






あぁ…情けないなぁ…私って…。



















「で?その後どうなってんの?」




「…何が?」





「ザラ隊長と。告白されたんでしょ?」




「あぁ…えっと…」







確かに告白はされたけど…




「まさか…返事してない…とか?」




「う…」






図星…。




未だにきちんとしたお返事はしてません。









「呆れた…」




「だ…だって!!いつもシンが…」






普段、働く場の違う2人が会う回数は限られていて…



仮に2人きりになる機会があっても、すぐにシンが乱入して来てそれを阻止してしまう。












「あの子…本当に命よね…。」





「何であんなシスコンに育っちゃったんだろ…。」





















!」





「あ…シン…訓練は終わったの?」





「うん。今日はこれで終わり。は?」




「お疲れ様。私も終わったよ。今から部屋に戻る所。」






「そっか。」






ホント…こうやって無邪気に笑う顔は可愛くて仕方無いんだけどなぁ…。






「ね…シン?」



「何?」





「シンは…ザラ隊長が嫌いなの?」



「は?」




「だってホラ…いつも顔を合わせる度に喧嘩売ってるじゃない?」









「…だってあの人…の事、狙ってるだろ?」




「え…」





「あの人おかしいよ。婚約者だって居るのに…なのにが好きだなんておかしい。

 遊ぶだけ遊んで捨てるつもりなんだよ…の事…。」





「シン…」












そっか…



隊長にはラクス様が…




なのにどうして私にあんな事を…







シンに言われるまでそんな事、思いもしなかった…。







隊長にあんな風に告白されて…舞い上がっちゃってたのかも…。





















「遊ぶなんて失礼な言い草だな…。」










「「隊長!!」」









目の前に現れたのは、呆れ顔で立つザラ隊長。












「婚約者…か。それでシンは俺がに言い寄るのを邪魔していたのか?」






「…当然だろ!大事な姉が悪い男に引っ掛かるのを黙って見てられる訳無いじゃないですか!」







「なら…彼女にだけ誠実なら…いいんだな?」




「え…?」









急に真顔になった隊長の気迫に、シンは一歩下がる。




それでも、そんなに簡単に引き下がる訳にはいかなくて…





何とか対抗しようと…キッ…と睨み付けるように視線を向けた。






その時…



















「あ!シン!!」






「…ルナ!?」





「探してたのよ〜!ちょっと来て!!」





突然現れたルナマリアがシンの腕をグイッと引っ張る。






「ちょっと待てって!俺は…」




「いいからいいから!」







ルナの力に引かれ、シンは引きずられるように連れ去られる。





去り行くルナは、に向かって軽くウィンクをした。







ルナ…まさか…
























も…そう思うか?」




「え?」





「俺が君を好きと言った事…それは俺の遊びだと思う?」






「そんな…」





思ってない…。




隊長は真面目で誠実な人だし…皆から信頼されてる人だし…




そう思ってる…けど…










「でも…ラクス様…は…?」





婚約者…なのでしょう?





この間だって…ラクス様は嬉しそうに隊長に駆け寄って…






「彼女とは…確かに婚約は結んでいたけど…もう破棄したんだ。」




「…破棄…?」






「どう伝えたら…俺の気持ちが真剣だと分かってくれるかな?」




「ザラ隊長…」













深い…深い…



その翠が私を捉えて…まるで吸い込まれてしまいそうな…




高鳴る胸の鼓動は、明らかに先程までのものとは違っている。













…君が好きだ…」




「隊長…」





「君の気持ちが知りたい。」








私の…気持ち…





私の気持ちは…









「ザラ…隊長…」





「アスランでいい…君にはそう呼んで欲しい。

 けど、俺に対する気持ちが特別なもので無いのなら…無理にとは言わないが…」






「いいんですか…?」





「え?」





「アスランって呼んでも…いいんですか?」





…」








こんなに凄い人が…真剣に私を想ってくれてる…




こんな…只のオペレーターの私を…








「私も…アスランが好き…」





…」






「でも…私でいいの…?」




「え?」





「これからも…ううん。今まで以上にシンが煩いと思うし…」




「望む所だよ…。」




「アスラン…」










「いずれシンは俺の弟になる訳だし…今から手懐けておかないとな…。」





「え…っ///」













フワリ…





急に身動きが取れなくなったと思うと…アスランに抱き締められていた。





「君を手放すつもりは無いから…。」








弟を大事に想う君も含めて…愛してるよ…























【あとがき】

『シスター』続編という事で…

こちらで曖昧なラストにしていた為、ここでくっついて貰いました。

お姉ちゃん大好きなシンが書けていればいいのですが…。

こんなシンちゃんが大好きです〜♪


スズカ様、お待たせしちゃいました〜。

結局アスラン夢…だけどシンを目立たせたくて…みたいな…。

ギャグ?じゃないし…微妙?

では、スズカ様に捧げます〜。

いつもありがとうございます♪

これからも宜しくです♪








2005.10.8 梨惟菜











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