「ディアッカ〜!早く早く!!」
「分かってるって!あんまり急ぐと転ぶぞ?」
気が付けば裸足になっていた…
さっきまで履いていた筈のサンダルを片手に、砂浜の感触を1人楽しんでいた。
久々の休暇だからどこかへ出掛けよう…。
そう提案したら、は迷わず海を選んだ。
どっちかっつーと俺は山の方が好きなんだけどね…。
でも、夏の海が大好きなには逆らえない。
俺はに弱いからな…。
まぁ、の水着姿が見れるんだから…行って損は無いだろうと思ってやって来た。
「…誰も居ないねぇ…。」
が見渡す限り、広いビーチに人気は全く無い。
…と言うか、ディアッカと2人きりなのだ。
「そりゃあ当然だ。アスハ家のプライベートビーチだからな。」
「…カガリの…?」
どうせ使っていないから…と、快く貸してくれた彼女に感謝。
の水着姿、その辺の男なんかに見せられるか。
「ディアッカは泳がないの?」
服の下に既に水着を着ていたは、Tシャツを脱ぎながら俺を誘う。
「ん〜。俺はの水着だけで十分。」
「…何か言い方やらしいよ…。」
「まぁまぁ。せっかくの貸し切りなんだからさ、独り占めして来いって。」
「…そう?じゃ、ひと泳ぎして来るね♪」
波打ち際で波と戯れるの笑顔を見ながら、俺は持って来ていた読みかけの本を開いた。
パラソルの下へと入ってしまえば、それ程陽射しも気にならないし…
潮風が意外にも心地良かった。
波打ち際でしばらく足をつけて遊んだ後、少しずつ沖へと入ってみた。
熱い陽射しと、ひんやりとした海水が気持ち良くて…
しばらく空を仰ぎながら、波に身を委ねて浮かんでいた。
夏の陽射しが私の身をジリジリと焦がして行く。
ディアッカも一緒に泳げばいいのに…。
私だけがはしゃいじゃって…子供みたい。
「ディアッカ〜!!」
読書も終わる頃、浜辺から俺を呼ぶ声が聞こえる。
長時間下を向いていた所為か、頭を上げた瞬間、クラッとして視界が光で遮られた。
…目を眇めたのは眩しい太陽のせいじゃない…。
浜辺から笑顔で駆け寄ってくる…。
オレンジ色に花柄の水着から、長く伸びた白い手足…。
と一緒に居ると退屈しない。
いつも元気で明るくて…本当に良く笑うヤツ…。
…こういう瞬間を『幸せ』って言うのかもな。
「見て見て!貝殻拾っちゃった!」
嬉しそうに広げた掌から、白とピンクの小さな貝殻が姿を現した。
は細々とした小さな物が大好きだ。
本人曰く…
『失くさない様に大切に扱わなきゃ…って思えるから』
…ってのが理由らしい。
「そんな所も可愛くて好きだな…。」
「…え?」
「いや、こっちの話。
なぁ…腹減ってない?もう昼過ぎてるんだけど…。」
ディアッカが腕時計の文字盤を見せる。
時計の針はもう13時を回っていた。
「…ホントだ。ちょっと夢中になり過ぎちゃった。」
「何か食べに行く?」
「あ…私ね、お弁当作って来たんだ。」
「マジ?」
が恥ずかしそうにバスケットに手を伸ばした。
「やっぱり海で2人で食べたいじゃない?だから…。」
中から取り出した色鮮やかな料理に、自然と顔が綻んだ。
「ねぇ…お昼食べたら一緒に泳ご?」
「え?」
「折角貸し切りなんだもん。ディアッカと2人で遊びたい。」
ちょっぴり拗ねた様な表情でそんな事を言われたら…
「ひゃ!」
あまりに可愛くて、思わず抱き締めてしまう。
少し濡れて、陽射しで火照る身体の感触がやけにリアル…。
「しょうがないな。のお願いじゃ、断る訳にもいかないし?」
「ホント?」
「あぁ。日が暮れるまで目一杯遊ぼうぜ。」
「うん。」
やっぱり…こんなに可愛いを独り占め出来るのは俺だけの特権。
これを『幸せ』と言わずして何と言う?
【あとがき】
夏…海!
管理人、ここ数年海で泳いでおりませぬ…。
泳ぐのは大好きです。
日焼けも気にしないタイプです。
でもねぇ…
人前で水着になるのが嫌なタイプ。
水着着るのはスタイル抜群なお姉様だけで十分なのだよ。
海でイチャつくディアッカとヒロインでしたぁ。
2005.9.4 梨惟菜