「だからさ、俺と付き合ってよ。絶対大事にするし!」



「しつこいなぁ。興味無いって言ってるでしょ?
 お願いだから人の優雅な食事の時間を邪魔しないでくれる?」






朝から騒がしいミネルバの食堂。



数少ない女性パイロットの1人、に言い寄るのはインパルスのパイロットのシン・アスカ。


アカデミー時代にに一目惚れして以来、何度も懲りずに告白している。



何度言い寄られても答えはNo。



それでもめげないシンはある意味凄い。












憧れの君


























「シンも頑張るわねぇ…。もう2年近くじゃない?」



「いい加減諦めて欲しいんだけどな…。」



「シン、顔は可愛いんだけどガキだしね。」




「だよね。年下はちょっと…。」



「それに、には憧れのお方が居るもんね。」






ルナマリアの『憧れのお方』という言葉には赤くなった。



「高嶺の花だって分かってはいるんだけどね…。」



「いいじゃない。こうして同じ艦に乗れる様になったんだから、これは運命なのかもよ!?」










「女の子達は盛り上がってるな〜。」


「…ヴェステンフルス隊長!!」




「あ〜だから、ハイネでいいって。」



笑顔で応対するハイネに赤面する


それに気付かないハイネは、手に持っていた資料をに手渡した。



「これ、の機体の資料。ヨウランが探してたから預かって来た。」


「え?あ、ありがとうございます!!」



「いっけない。私、ヨウランに用事があったんだわ。
 、悪いけど私行くわね。」



「え…ちょっとルナ!!」



ルナマリアは笑顔でひらひらと手を振ると出て行ってしまった。












、今暇か?」



「え…?特に用事は無いですけど…。」



「だったら話し相手になってくれよ。」


「わ…私が…ですか!?」












ハイネ・ヴェステンフルス隊長は私の憧れの人。



アカデミーに入ってすぐ、偶然廊下でぶつかった相手。




隊長は覚えて無いと思うけど…。





先の大戦でも前線に出て功績を残した人で、今は特務隊フェイス所属のエリート。



私も隊長みたいになりたくて…。


一生懸命アカデミーで勉強して、訓練受けて…。



念願叶って赤服で卒業。



最新鋭の戦艦、ミネルバのパイロットに配属されて…。









進水式前に事件があって色々と大変だったけど…。



そのミネルバに隊長が配属になった時には夢でも見てる気分だった。







初めて会話をした時には緊張でガチガチになっちゃって笑われたっけ。



そのお陰ですぐに名前、覚えて貰えたんだけど…。




忙しいのに色々と気を使って話しかけてくれて…。



気が付けば憧れから恋愛感情に変わってたりして…。



4歳下なんて対象外なんだろうけど。


















「そう言えば…シン…だっけ?インパルスのパイロット。」



「あ、はい。そうです。」



「何か2人、有名らしいじゃん?毎朝熱い告白受けてるって。」



「そ…それは!シンが一方的に告白して来るだけで…」





隊長の耳にまで届いてるなんて…!


冗談じゃないっ!


それだけはちゃんと否定しておかないと!!








「私、ずっと好きな人が居て…。シンには特別な感情なんて無いんです!」



「へぇ…好きな奴居るんだ?誰?」


「へ…?」


「気になるじゃん。俺の知ってる奴?あ、もしかしてミネルバに居る?」



「や…あの…。」









あなたなんです。



そう言えたら苦労しないんだけど…。





「あ、ひょっとしてレイ?」


「ち…違います!」




「じゃあ誰だよ?」


「そ…そんな事言えません。」




いや、マジで無理だから…。


本人にここまで追求されるなんて…

心臓がもたないっ!!






「じゃ、ヒント。ヒントだけでいいから教えろよ。」


「…ヒ…ヒント?」



何でこんなに興味津々なの…?


ヒント…


そんな事言われても…。





「えっと…先の大戦での功績を認められたエリート…かな?」



うわ…露骨過ぎたかな…


バレるのも嫌だけど、勘違いされるのも嫌だし…。


どうしたらいいのよぉ〜!!













「あぁ、アスランか。」


「…はい?」






そう言えばそうだ…


ザラ隊長もヴェステンフルス隊長と同じ、フェイスだったっけ…。


しかも先の大戦では伝説のエースとまで言われたパイロット…。




「アスランな〜。確かにいい男だな。ちょっと優し過ぎるような気もするけどな。
 婚約者付きかぁ。辛い所だよなぁ…。」



「ちょっ…ちょっと待って下さい。」



「え?」


「ザラ隊長だなんて一言も言ってませんから…。」


「何だ…違うのか?じゃ、誰?」




また話が振り出しに戻ってる…。





「…でも他に思い付く奴なんて…俺くらいしか居ないんだけど?」


「え!?」





「いや、でもあり得ないよな〜。
 俺、4歳も年上だしなぁ。もうオヤジだよなぁ…。
 さすがに20代の男は対象外だよなぁ…。」



「そ…そんな事ないですっ!!」





はっ…


私、今思わず…






「マジ?」


「え…?」



「今の、本気にしていいのか?」




急に真剣な表情になる隊長に、の息が詰まる。



「た…隊長…」


「だから、ハイネだって。」


「でも…」


「あのなぁ…好きな子に壁作られるの、すげぇ嫌なんだけど。」




「へ…?」




好きな…子


…って私!?








「やっぱ気付いてなかったか…。」


「だって…ここへ来てまだ数日しか…」






「アカデミーでぶつかっただろ?」


「覚えてたんですか!?」







忘れる訳無い…。



目が合った瞬間に惹かれてたんだから…。



もう一度会いたい…ってずっと思ってたんだ。



年の差なんて気にならないくらいに会いたかった。











「好きだぜ?。」


「…隊…」



「だから、ハイネ。」



「ハ…ハイネ…。」



「合格。」






恥ずかしそうに真っ赤になって名を呼ぶの唇をそっと塞ぐ。



2年越しの恋がようやく実った瞬間。























【あとがき】


一度は挑戦してみたかったハイネ夢。


何となくフッと書いてみたんだけど…

すげぇ自己嫌悪。



ハイネのキャラが分からない…。

もはやハイネじゃない…。







2005.4.10 梨惟菜








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